もう１つの世界選手権
CHAMPIONNATS DU MONDE
VTT et VELO TRIAL
この短い期間に、まず事前にしなければならない事は、国際ライセンスの取得とエントリーである。 さっそく私は日本自転車競技連盟（ＪＣＦ）を訪ね色々と話を伺った。
国際ライセンスは、まず東京都のライセンスをとり、それから国際ライセンスの申請という手順であった。 エントリーの方は、日本バイクトライアル連盟がＵＣＩに加盟していない為不可となり、ＪＣＦ事務局の方もトライアルの情報は、ＵＣＩ競技カレンダに載ってる程度のもので、皆無に等しかった。
結局、「スペインＭＥＧＡＭＯ」の計らいで無事エントリーは完了することができた。 しかし、黒山健一君がベルギーのライセンスで初出場した１０年前の時代に逆戻りしたようだ。
８月２日（土）のＢＩＵのチェコ大会終了後、閉会式も出ずに、ジェローニ親子と一路フランスへ向かった。 約１０００Ｋｍの道程をひたすらフッ飛ばし、月曜日にはＵＣＩ世界選手権の会場へなんとか到着できた。 大会会場はレマン湖のすぐ南にあるフランスのアボリアスという標高１８００ｍのスキー場だ。 ここは景色も最高で、素晴らしいリゾート地になっている為、観光客がたくさん訪れていた。
８月３日から１週間、ＵＣＩのトライアル世界選手権が行われる。 大体の日程は、こんな具合だ。
８月 ２日 ２６インチ・第１ラウンド、エントリ。
８月 ３日 ２６インチ・第１ラウンド、競技。
８月 ４日 ２０インチ・第１ラウンド、エントリ。 ２０インチ・ユース、エントリ。
８月 ５日 ２０インチ（エリート・ジュニア・カデット）・第１ラウンド、競技。
８月 ６日 ２０インチ・ユース（ミニメット・ベンジャミン・プッシン・プロメサ）、競技。
８月 ７日 ２０インチ・第２ラウンド、エントリ。
８月 ８日 ２０インチ・第２ラウンド、競技。 表彰。
８月 ９日 ２６インチ・第２ラウンド、エントリ。
８月１０日 ２６インチ・第２ラウンド、競技。 表彰。 閉会式。
火曜日にエントリを終え、水曜日は２０インチの競技をのんびり見物して疲れを取る予定であったが、日本を出発してからの強行日程の旅のせいか、肝心の良太が熱を出して２日間寝込んでしまった。
競技本番の前日に、なんとか英文のレギュレーションを入手して、ＭＥＧＡＭＯチームに説明してもらい、セクションもベンジャミンとミニメットで違う事も初めて知った。
レギュレーションも大きく違っていて、ＵＣＩルールでは、タイヤオンリーで、ガード・ペダルが付くと減点の対象となってしまう。
また、１つのセクションで２分を過ぎると１５秒ごとに減点１が加算され、３分で５点になってしまうようだった。
パンチカードも、セクションに入る前に渡すというような、やり方でやっていた。
当然、ライディングもそのような走りで、４点のパンチがあったりする。 ８月６日、良太の出場する日だ。 しかし、とても走れる体調では無かったが、「出場しなければ、何をしに来たのか、わからない。」と、無理して競技に出た。
ＢＩＵと違って（日本大会だけかもしれないが）、各国のライダーはそれぞれの国のナショナル・ジャージを着て、参加している。
また、自転車はメガモ・モンティ・ＧＴ・ヘビーツール、そして見た事もない前後ディスクのドイツのものなど、とても種類が多い。
ここではドイツ・フランス・スイス・スペイン・・・と多くの国の選手が参加している。 どこに行っても上手い選手はいるものだ。 そして「何故日本選手は出場しない？」と多くの人に聞かれた。
ＵＣＩ・ＢＩＵどちらがどうという問題ではなく、百聞は一見にしかずとはまさにこの事である。
そしてＵＣＩの表彰式の後、すぐにスロバキア大会の会場へ向けて、１４００Ｋｍの道程をひたすら走り続ける。 まともに休息もできないので、良太の体調は好転することもなく、スロバキアの大会にも最悪の体調で臨むことになったが、悔いはない。
１週間に３試合と、一口では言えないほどとてもハードではあったが、とても貴重な体験が出来た。 これも「亜路欧とスペインＭＥＧＡＭＯ」のサポートのおかげである。
どうか皆さんも一度ＵＣＩの大会に出てみてはいかがですか。 ＵＣＩはきっと日本選手を歓迎してくれるでしょう。
西元 朗
良太（１３才）
